おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
「娘へ。

 この手紙を見たってことは、料理を始めるってことかな?

 まぁ、いいや。でも、このレシピはあなたのものよ。好きに使いなさい。

 
 あなたは変わったわ。

 ごめんね。率直すぎて。

 私ね、寂しかったの。あなたがどこか遠い所に行っちゃうような気がして。

 私の手の届かない、はるか遠くへ、行っちゃうような気がして。


 あなたはそんな私を無視してどんどん遠くに行ったわ。

 すごいスピードでね。

 もう、声をかけても届かない距離にあなたは行ってしまっていたわ。


 でもね、見失うことは無かったわ。

 だって、私も必死で追いかけたもの。

 でも、距離は縮まることは無かったわ。

 

 一番あなたの近くにいて、一番あなたの遠くにいたの。


 
 ごめんね。

 あなたは何も悪くないのよ。

 全部私が悪かったの。

 私があなたの精神を、何らかの形で崩壊させたの。

 
 許して。

 
 って言ってもたぶんあなたは許してくれないよね。


 
 だから、あなたの願いを一つ叶えてあげる。

  
 でも、この願いが叶った後、あなたはちゃんと生きていけるかしら。




 分かるかな?言ってること。


 ふふ。もう暴露するね。

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