おかんの手料理 ～７人のハチャメチャ物語～

　僕は、それから１時間３０分後に店を出た。

　
　結構食べた。最初は恥じらいがあったけど、肉を一口食べたら、一変した。

　僕は猛獣になった気分だった。肉欲しさに、何回もオーダーをした。店員にも、ちょっと変な目で見られた。細身の体でよく食べるな、とでも思ったのか。


「あ、あの、二人来るって言ったのが、なんか来れなくなっちゃったみたいで。アハハハハ」


　最初に話した店員が、僕の横を通り過ぎる時、僕はそう言い放った。

　その店員は、困惑した面持ちで、「あ、はい……」と返してきた。


　「そうなんですか。それは残念ですね。またその方々とのご来店、お待ちしております」ってぐらい気の利いた言葉が言えねぇのか。

　今回はウソだったから良いけど、もし本当に人を待っていて、その人が来れなくなって、あんな言葉を言われたら、僕はキレるかな。キレるまで行かないにしても、良い気にはならないな。