おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
「あ、おかえりー。ご飯できてるわよー」

 おふくろは嬉しそうに言う。

「あ、私いらないー。友達ん家でごちそうになったからー」

「だから、帰りがいつもより遅かったんだ…」

 ボソっと呟いた。

 何か悲しそうだ。




 おふくろ。静香はもう、中学生だ。

 部活帰りに、友達ん家でご馳走になるのはよくあることだ。

 あれ?そんなにないかな?

 まぁ、いいや。

 でも、そんなことで悲しんでちゃあ、この先乗り切れないよ!

 いろんなことがあるんだから!




 ………。


 いやいや。ちょっと待って。


 ………。


 ダメだ。ダメだ!ダメだ!!ダメだ!!!


 静香だけ、この残飯以下料理を食べないのは卑怯だ!


 ずるいぞ静香!お前だけ逃れようってか?


 ううん。そうはさせない。


 お前にも犠牲になる権利があるんだ。
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