おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
「うぅぅーーー…」

 今度はちょっと大きめの声でうなってみた。

「だからぁー、保健室行けば?」


 もう!

 お前のせいだぞ、健太ぁ!!

 お前がクチャクチャ音出して食べるからいけねぇんだ。


「うぅぅぅーーー…」

「お前もさ、大変だな。大学受験」


 ふんっ。受けない奴は呑気だな。

 大学受験はな、お前が「大変だ」って思ってるよりもはるかに大変なんだぞ。

 分かって言ってるのか?


「分かってるよ」


 え?聞こえちゃった?

 オレ、心の中で言ったんだけど。

 健太はオレの心が読めるのか?


「因数分解」


 へ?い…因数分解?


「でも、因数分解だけ分かってても、大学受験は無理だろ。他のも、他の教科も、できないってことはないないよ。でも、ほぼできないに等しいかな」


 ああ、そうゆうことね……。

 確かにこいつ、バカだな。


「中学時代はかなり良かったんだけどね。高校入ってからどん底だよ」


 ふぅん。それはお気の毒に。
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