あくま姫
「姫さまも、立派な悪魔なんですからね。もう少し、悪魔らしい振る舞いを…」

「はぁ~い、朝からそんなに小言いわなくったっていいじゃない~」


ぶうぶうとポッペタを膨らましながら、ミーナが手際よく広げていく朝食をつまみ食いする。

「いけませんよ!子供じゃあるまいし。…フゥ、大体ですね、姫様は悪魔界を統べる王の娘である自覚が足りなさ過ぎます!!姫さまの自覚不足はゆくゆくは悪魔界の為にもならないのですよ!」


「えーーーー!だって、悪魔らしくったって!契約結ばなくっちゃ呪い一つかけれないじゃない!」

ジタバタと足を慣らし、ミーナに抗議するも日頃からの天真爛漫、純粋無垢な姫の行いに、我慢の限界が来ていたのだろう、ミーナの小言は止まる様子を見せない。


「契約がなくては魔法も使えないのは、悪魔全員みな同じです!!悪魔らしく振舞うために皆努力しているのですよ!言葉遣いから始まり、服装!メイク!牙を移植する者さえいるんですっっ」

自分の教育が悪かったのか、姫を甘やかし過ぎたのか、ミーナは自問自答しているうちにプルプルと身体が震えるほどに怒りがこみ上げてきた。

「…ちょ、ミーナ…?」

ドン!!

突然ミーナは思いついたかのようにテーブルを叩き、キッ!と姫を見据えると

「朝食を済まされましたら、王の部屋へおいでくださいませ!」

と言い残し、バタンと部屋を出て行ってしまった。



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