Age
第一章

はじまりの話

時間は不思議なもので

今から1秒前は過去で
今から1秒後は未来だ。

僕らはコンマ何秒
光速の"今"に存在している。


しかし人の感覚での"今"は異常に長い。


1秒前のことを「この前」なんて言わないし
1秒後のにすることを「これから○○するから~!!」なんて言うヤツはいない。

いや、むしろ1秒にはそんなことを言う暇はないし

そんなこと言うヤツは頭がおかしいとしか思えない。


そういえば英語の授業でも過去形とか未・・・
「ハイッ!!止め!」


「なっ…なんだよ尚仁!!
今俺が一生懸命考え事をしてたのに!!」
「考え事て…お前なんかスゲェ顔してたぞ……
やめとけやめとけ!!どうせまた妄想してただけだろ」


尚仁と呼ばれた少年に突然声をかけられたのが本当に驚いたのか、彼は肩を上下に揺らして息を吸い、してねえよ妄想は、と一言呟いた。

「妄想"は"?」
尚仁が繰り返す
「俺は想像力がズバ抜けて良いだけだよ
ちょっと異常な想像してただけだ!!」
「公弥くん、それ妄想じゃね?」

彼の名前は津嶋 公弥。
地元の公立高校に通う15歳の男子だ。
身長は成長期の助けを借りてそれなりに伸びたが、特に高いわけでもない。
顔立ちも特別派手というわけでもなく極々普通。





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