Age
いつも通り、6限目が終わり公弥は帰ろうとした。
彼は帰宅部だ。他の友人は皆なにかしらの部活に所属しているので放課後に誰かと遊ぶわけでもない。
つまり学校に残る理由がなかった。
下駄箱を開き、靴に手をかけた瞬間、グラウンド中にカコンッと乾いた音が響いた。
外を少し覗くと野球部がボールを投げ、バットを勢いよく振り上げている。
「毎日毎日、暑いのによくやるよな」
外はまだ6月だというのに気温27℃。
地球温暖化のせいで慌てて鳴いている蝉が少し煩かった。
「でもなつかしいな、野球」
そう言うと公弥は白球を追いかける少年達をどこか眩しそうなまなざしで見た。
すると
「わっ!!ゴメンなさい!!」
公弥の背中に衝撃が走った。
振り返ると公弥と同い年くらいの女の子が、大量のユニフォームが入ったカゴを持って立っていた。
この大荷物のせいで、前が見えなくなり公弥にぶつかってしまった、というところだろう。