Age
彼女はとても綺麗な顔立ちをしていた。
大きな瞳が特徴的で、鼻筋がスッと通っていて、さらさらとした長い髪もとても魅力があった。
身長も女子にしては高い方だが、華奢な身体にこの荷物はさすがにとても重そうだ。
「大丈夫ですか?その荷物。よければ持つけど…」
公弥はそう彼女に言ったが、彼女は胸を張って
「大丈夫よ!こんくらい。これでも長いこと野球部のマネやってんだから!!」
でもありがとう、と公弥に微笑んだ。
公弥の胸は高鳴ったが、今は洗濯されたばかりのユニフォームの石鹸の香りに酔ったことにしておいた。
「そういえば、どうしたの?野球部なんか見て。あっ!まさか入部希望?」
彼女は公弥の顔を覗き込みそう言った。
「や、ソレはない…な」
「そっか、微妙な時期だしね。でも気が向いたら言ってね!」
「うん」
「それじゃ、あたし行かなきゃいけないから。またね!」
そういうと彼女はまたあの大荷物を持って、青空の下へ駆けて行った。
「(久しぶりだ。人と緊張してあまり喋られなかったのは)」
公弥は元々あまり人見知りをするタイプではなかった。
「(……まずい)」
「(久々にきたかもしれない……)」
下駄箱前に取り残されたのは真っ赤な顔をした彼と、服に染み付いた石鹸の香りだけだった。