Age

下駄箱の人




今日も学校中に1日の終了の鐘が響き渡る。
教室には友達と話ている人、放課後になってまで勉強している人、部活に行こうと準備している人…さまざまだ。

尚仁も部活に行こうとし、急ぎ足で教室を出ようとしたが、公弥によって止められしまった。


「な、何?どしたの、公弥?」

公弥はいつになく、真剣な表情で

「お前、野球部のマネージャーの名前知ってるか!?」

と言った。
あまりに唐突で真剣だったので尚仁はクスクス笑ってしまった。

「え、なに?まさか気になるこいるの?」
「ばっ!いるわけねえだろ!!」
「ふうん」

尚仁はすべて見透かしたような目で公弥を見て、分かりやすすぎるだろ、と呟いたが教室が賑やかなのせいで公弥の耳には届かなかった。


「まあ、知ってるよ。でも人が多いからさ。松原彩子とか?」
「や、だからわかんねえんだよ。顔しか。背が高くて、目が大きくて、髪の長い…」
「…わかった!!!!美和ちゃんだ!佐倉 美和ちゃん!!可愛いよなあ」

たぶんソレだ。と公弥は確信したが同時に、やはり男子に人気があるのか、と肩を落とした。
そして、どうもな、と尚仁に呟き教室から出て行った。


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