恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「風の中のロウソクの火……ですか?」

「いつもそばについていてあげないと、ちょっとでも目を離した瞬間、命の火が消えてしまうような女性だったんだよ…」

「そうですか…」

「そして私は、彼女と二人三脚のような形で治療を続けて行くうちに、いつしか医者として……一人の男として、彼女の命の火が消える瞬間まで、ずっといっしょにいてあげたいと思うようになった……」

「それでお二人はご結婚を?」

父は黙って大きくうなづいた。

「彼女のほうも私の想いを理解してくれていいたし、娘を幸せにしてほしいと願う彼女のご両親からの強い希望もあってね……」


杏奈さんが父と結婚したのは彼女が17歳のとき……つまり、今のあたしより1コ下のとき、もう結婚していたんだ。


「そして杏奈は結婚するとすぐに“子どもが欲しい”と言い出した……」

「ですが奥様の病弱な体で出産なさるのはある意味、自殺行為だったのでは…」

「もちろんそうだ。だから私も猛反対した、“命を捨てるつもりか?”ってね」

「じゃあ、なぜ…?」

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