恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「今さら無理なのは分かってるけど……でも無理を承知でお願いしたいの……」

なんかすごくもったいぶったような言い方だった。



「何も訊かずに……何も訊かずにカレと……勤と別れてほしいの…」



「えっ!?」

一瞬、自分の耳を疑った。完全に無防備状態だったせいで、彼女の爆弾発言があたしの心にダイレクトなダメージを与えた。


「ど、どうしてですかっ……なんで、そんなこと言うんですかっ…?」


「何も訊かないで…」


「だって勤さんをあたしに紹介してくれたのは江波さんでしょ? なのに、なんで……」


「そ、そうね……“何も訊かないで”っていうのはやっぱり無理よね……」


「………」


「理由は、わたしがカレを愛しているから」

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