恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
彼みたいに頭の良いヒトに言われると、そうなのかと思ってしまいそうになるけど…。
「でも……」
「ごめん、そろそろ仕事に戻らなきゃ。予定どおり今夜のデートはするから、キミんちで待ってて。迎えに行くよ。じゃ、あとで」
あたしが返事をする前に、一方的に電話を切ってしまう彼だったけど、仕事中の彼とこれ以上話していられないのは、しかたないことだと認識しているオトナなあたしがいた。
勤さんと江波さん。
ホントのことを言っているのは、いったいどっちなんだろ?
江波さんは仕事が終わったら、ちゃんと話してくれるって言ってたし、勤さんとも今夜、会うことになってる。
そのときに直接会って話を訊けばいいんだろうけど、夜までまだ3時間近くある。あと3時間も、こんな落ち着かない不安な気持ちなままいないといけないワケ…?
「その結婚……辞めたほうがいいと思うぜ」
不意に、白昼夢の中の剛が言ってた言葉が、頭の中でリプレイされた。