恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「残念だが……今のお前の行く先にハッピーなエンディングは用意されてねぇ……」
こんなふうにもアイツは言ってた。
もしかして、アイツのいうとおりになろうとしている、ってコト?
アイツ、なにか知ってるんじゃ……。
あたしはまだ手に持っていたケータイのアドレス帳から“桐矢 剛”を選択した。
でも―――
「訊けるわけないか……」
自分に言い聞かせるようにつぶやいてケータイを閉じると、赤と緑と金色でデコレーションされたクリスマスイブの町を素通りして、あたしは町外れの“墓地”へと向かった。
そこは杏奈さんの魂の眠る場所。
そしてそこは、あの世に旅立っていったヒトたちの、この世での住まいでもある。
年頃の女のコがクリスマスイブに行く場所としては、あまりにシュールな場所だと、われながら思う。
だけど、今のあたしにはそこしか行く場所がなかったような気がする――――