恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
第9話「最初で最後の告白」
わが家では毎年、12月25日……つまり、あたしの誕生日に娘の成長した姿を見せるために、父といっしょに杏奈さんのお墓参りをすることになっている。
けど今年はまだ24日だというのに、ひとりで杏奈さんのお墓に花を供えているあたしがいた。
墓地に行く途中、花屋さんに寄っていつもより多めに花を買った。その半分は杏奈さんのお墓に備え、そして残り半分を供えるために別のお墓に向かって歩いていると、ごく微かな風に乗ってお線香の香りが漂ってきた。近くで誰かがお参りしているんだろう。
「え…!?」
あたしがお参りしようとしているお墓の前に誰かいる。
ユラユラと白い痕跡を残して昇っていくお線香の前に立つ男のヒト。
そのヒトは、すそ丈の長い黒っぽいコートを身にまとい、右手にはソノ黒色とは対照的に冷たい銀色の輝きを放つパイプ状の医療用の杖をついている。
そして、あたしはこのヒトを知っている。
「誠志郎さん……」
驚いたように振り向いた彼だけど、すぐに懐かしい笑顔を見せてくれた。
「久しぶり……だな。3年ぶりくらいか?」
けど今年はまだ24日だというのに、ひとりで杏奈さんのお墓に花を供えているあたしがいた。
墓地に行く途中、花屋さんに寄っていつもより多めに花を買った。その半分は杏奈さんのお墓に備え、そして残り半分を供えるために別のお墓に向かって歩いていると、ごく微かな風に乗ってお線香の香りが漂ってきた。近くで誰かがお参りしているんだろう。
「え…!?」
あたしがお参りしようとしているお墓の前に誰かいる。
ユラユラと白い痕跡を残して昇っていくお線香の前に立つ男のヒト。
そのヒトは、すそ丈の長い黒っぽいコートを身にまとい、右手にはソノ黒色とは対照的に冷たい銀色の輝きを放つパイプ状の医療用の杖をついている。
そして、あたしはこのヒトを知っている。
「誠志郎さん……」
驚いたように振り向いた彼だけど、すぐに懐かしい笑顔を見せてくれた。
「久しぶり……だな。3年ぶりくらいか?」