恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「誠志郎さんもアイツに会いに来たの?」
「あぁ。なんかココ数日、何度もアイツの夢……いやアレは夢じゃないのか。なんかよく分からねぇけど、とにかくアイツが俺の前に突然ふうっと姿を現してな」
「えっ、誠志郎さんのところにも?」
「…ということは毬ちゃんのところにも?」
あたしは黙ってうなずくと…、
「ソレ、“白昼夢”だよ」
…と確信をもって告げた。
「なるほど、アイツ、そーとー目立ちたがり屋だったから、白昼夢になってまで俺たちの前に姿を現したってことか……」
アイツ……。
アイツの名前は桐矢 剛。
5つ年上なのに、あたしはアイツのことを「剛」と呼び捨てにしていた。
剛たちが所属するサッカー部が地区大会の準決勝戦を迎えた日……それは3年前、あたしが明東大附属高校1年生のときだった。
「ワアアァァァー!」