恋舞曲～雪の真昼に見る夢は…～

明東大学サイドの応援席が沸いた。

ずっと“０対０”の状態が続いていたのに、試合終了間際になって、ミッドフィールダーの剛がボールをドリブルしながら、相手チームのゴールに向かって、まっしぐらに激走していたからだ。

「そこだ！　そこ！」

「行けぇー！」

興奮する応援席のみんな。

「マズイ！　剛、ココは知之にパスだっ！」

監督が叫ぶ。

でも剛はそれを無視してパスしないで、自分の足でゴールを目指す。

「アイツ、なにやってんのよ!?　なんでパスしないのよ！　あの目立ちたがり屋の、ええカッコしぃが！　バッカじゃない！」

あたしも興奮していた。

「行け、行け、剛くうぅぅぅぅん!!」

マネージャーの郁巳おねーさんが、メガホンが張り裂けそうな大声で叫んだ。

「そのままシュートを決めちゃいなさい!!」

おねーさんの声が聞こえたのか、ついに剛がシュート!!

…を決めようと足を後ろに振り上げた瞬間、相手チームの選手にボールを奪われ、今度は明東大ゴールが攻められる番になった。