恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「オッケー、キャプテン♪ タップリかわいがってやるぜ、女神サマ♪」
「クルマの修理代はカラダで払ってもらうとするか♪」
スキンヘッドに言われてロン毛と、あと残っていたギョロ目の選手がふたりがかりで、あたしをワゴン車に押し込めようとする。
「や、やめてっ。こんなことしたらあなたたちだってサッカーできなくなっちゃうよっ」
「準決勝敗退の俺らには明日のことなんてカンケーねぇよ」
「おとなしくクルマに乗れ、って!」
ギョロ目の選手があたしの三つ編みを思いっきり引っ張った。
「…っ!」
抵抗して激しく頭を左右に振ると、髪をまとめていたヘアゴムが取れて、片方の三つ編みだけがハラリとほどけてしまった。
“このままじゃ、あたしっ!”
自分の身に降りかかろうとする悲劇のイメージが次々と頭の中に浮かんできて、あたしは怖くて声も出なくなった。
「四方、お前、なにそんなところに突っ立ってんだよ! さっさとマリヤを助けろよ!」
「誠志郎さん、助けて!」って心の中では必死に叫ぶけど、実際は怖くて声も出ない。