恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「まぁ、そうだけど……でも、毬ちゃんは夢が叶ってホントよかったよな。おめでとう」
「…でも、まだ婚約しただけだし、実際、どうなるか分かんないよ……」
「きっと大丈夫だよ……大丈夫……毬ちゃんの夢は絶対に叶うよ」
「うん……」
「……俺さ……」
やや間があって、彼は切り出した。
「…ひょっとして桐矢のせいで……毬ちゃんの夢が叶わなくなっちまったら、って……実は心配してたんだ……」
「なんで、あたしがアイツなんかのせいでっ?」
足を止めたあたしの言い方は、思わず食ってかかるようなキツイ言い方になっていた。
「いや……俺の考えすぎだったんなら、それでいい……」
足を止めた彼はちょっとたじろいでいた。
「そうだよ、考えすぎだよ。アイツのことなんて、もうなんとも思ってないよ」
そう嘘をつくと、あたしはツカツカと歩き出した。