恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「そっか…ヘンなこと言って悪かった……」
彼もあたしに続いて歩き出した。
“カツ…、カツ…、カツ…”
「毬ちゃんは白昼夢だって言ってたけど、ぶっちゃけ俺は、桐矢が俺を恨んで化けて出たのかとマジで思ったよ」
「オバケを信じるなんて、誠志郎さんらしくないじゃん」
「だけど俺は……毬ちゃんを守るだけで精一杯で……桐矢のことまで守ってやることができなかった……」
辛そうな顔をしてうつむく彼。
そんな彼を見るのはあたしも辛かった。
「でも剛は誠志郎さんのことは恨んでないと思う。恨むんなら、むしろあたしのことを恨んでると思うし♪」
だから、わざと明るく言った。
「そーいえばアノ事件の後だよね? 誠志郎さんが“俺は弁護士になるんだ”って言い出したのは。やっぱりアレ? 友達の剛を殺されちゃったのが原因?」
「あ、あぁ……」
「え?」
「もちろん……法律を武器に世の中の弱いヒトたちを守ってあげられる男になりたいっていう思いもあったけど……」