恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「それでいいんだよ。みんなそうやって毎日を生きてるんだから」
やさしく言いながら、また誠志郎さんがブランコを止めようとするから…、
「よくないよ!」
あたしは逆らってブランコの勢いをさらに増した。今のあたしは聞く耳をもたない。
「剛がせっかく命懸けで守ってくれたのに、こんな意味のない毎日をおくってたんじゃ、剛が命を捨てた意味なんてないじゃん!」
“キーコ! キーコ!”
「…でも、毬ちゃんには夢があったじゃないか。その自分の夢を叶えることだけ考えればいいじゃないか?」
「言われなくてもそうしたよ。夢を見続けるよう努力したよ。今はつまんない毎日だけど、18歳になったらゼッタイ幸せになれるって信じて、毎日をがんばって生きてきたよ」
「だったら…」
「でも無理っ」
「桐矢のこと?」
あたしは大きくうなづいた。
「好きでも何でもなかった剛からの、全ての終わりからはじまった“いびつな恋”……でも、あたしの夢が叶うためには、そのいびつな恋に勝る恋が必要なんだ。そんな恋がなければ、あたしの夢は叶わないんだ……」