恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「毬ちゃん…」
「だけど、あの恋に勝る恋なんてこの世にあるはずがない。だから、あたしの夢は叶わない。そして結局、あたしにはナンにもなくなっちゃうんだ……」
「………」
黙って眉間にシワを寄せる彼。
「離れて」
「え…」
「あたし、飛ぶから」
「危ないからやめるんだ」
心配そうな顔をしてるけど、今のあたしは誰の言うことも聞かない。
「あたしから離れないとケガするよ」
少しすごんで低めの声で言った。
「………」
黙って1歩、2歩と後ずさりする彼。
「行くよ!」
思いっきりブランコを後ろに揺らして、次にそれが勢いよく前方に戻ってくると…、
「えいっ!」
あたしはブランコから大ジャンプした。