恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

一瞬、あたしの全身は風に包まれ、そして地球の万有引力からも解放されていた。


次の瞬間…、

“ずさっ…”

着地に失敗して地面に両手をついた。


「大丈夫っ!?」

彼が慌てて駆け寄って手を差し伸べるけど…、

「ヘーキ! ひとりで立てるし!」

その手を借りずにあたしは立ち上がった。そしてパンパンと手を叩いて、手のひらに付いた土を払い落としながら続けて言った。

「あたし、自分なりに考えたんだ。たとえ自分の夢なんか叶わなくても、それでも剛にもらった残りの人生をムダ使いしないで済む方法を」

「そんな方法…?」

「あるよ」

あたしは即答した。


「自分の夢が叶わないなら、代わりに誰かの夢を叶えてあげればいいんだよ」


「他の誰かの夢を叶える?」

< 155 / 227 >

この作品をシェア

pagetop