恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
一瞬、あたしの全身は風に包まれ、そして地球の万有引力からも解放されていた。
次の瞬間…、
“ずさっ…”
着地に失敗して地面に両手をついた。
「大丈夫っ!?」
彼が慌てて駆け寄って手を差し伸べるけど…、
「ヘーキ! ひとりで立てるし!」
その手を借りずにあたしは立ち上がった。そしてパンパンと手を叩いて、手のひらに付いた土を払い落としながら続けて言った。
「あたし、自分なりに考えたんだ。たとえ自分の夢なんか叶わなくても、それでも剛にもらった残りの人生をムダ使いしないで済む方法を」
「そんな方法…?」
「あるよ」
あたしは即答した。
「自分の夢が叶わないなら、代わりに誰かの夢を叶えてあげればいいんだよ」
「他の誰かの夢を叶える?」