恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
彼はすごく慌てて、あたしの手をふりほどこうとしたけど…、
「誠志郎さん! あたしと結婚して! あたしをあなたのお嫁さんにして!」
あたしは力のかぎり強くしがみついて、一方的にしゃべり続けた。
「そんなこと…」
突然、彼はあらがうのをやめた。
「そんなこと言われて……俺が喜ぶと思ったのか……?」
「え?」
あたし的には意外な反応だった。
「俺はな、たとえ俺の知らない、どこの誰かも分からないような男と結婚しようが、それで毬ちゃんが幸せになるんなら、それでいい、って祝福しようと思ったよ」
「………」
「でも今、キミは好きでもない男と結婚しようとしている」
「………」
「おまけにその結婚まで辞めて、今度は俺と結婚するなんて言い出して」
「だから好きなヒトと結婚したほうといいと思って…」