恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
誠志郎さんと別れたあと、なんとなく、まだ家に帰る気になれなかったあたしは行く充てもなくさまよったあげく、気がつくと明東大学のグラウンドのバックネット裏にいた。
冬の東京の日暮れは早い。まだ5時すぎだというのにすっかり辺りは暗くなっていて、グラウンドだけがナイターの照明に煌々と照らされて、暗闇の中に浮かび上がっていた。
「おい。コッチにパスしろ」
濃いグリーンのユニフォームの選手が叫ぶ。
「バカ言え。こんなオイシイ場面を誰が譲るよ。このままオレ様がシュートを決めてやる」
白に近い色の金髪の選手は、相手チームのディフェンダーのあいだをすり抜けながら、ドリブルで中央突破していく。
「まさか剛…? 剛なの!? 剛ぉーっ!!」
思わず叫んでしまったあたしの声に、今まさにシュートを決めようとしていた金髪の選手が反応した。
「え…!?」
だけど、驚いたようにあたしのほうを見た金髪の選手の顔は、剛のものじゃなかった。まったくの別人だった。似てもいない。剛と同じなのは髪の毛の色だけだった。
「違う……」
冬の東京の日暮れは早い。まだ5時すぎだというのにすっかり辺りは暗くなっていて、グラウンドだけがナイターの照明に煌々と照らされて、暗闇の中に浮かび上がっていた。
「おい。コッチにパスしろ」
濃いグリーンのユニフォームの選手が叫ぶ。
「バカ言え。こんなオイシイ場面を誰が譲るよ。このままオレ様がシュートを決めてやる」
白に近い色の金髪の選手は、相手チームのディフェンダーのあいだをすり抜けながら、ドリブルで中央突破していく。
「まさか剛…? 剛なの!? 剛ぉーっ!!」
思わず叫んでしまったあたしの声に、今まさにシュートを決めようとしていた金髪の選手が反応した。
「え…!?」
だけど、驚いたようにあたしのほうを見た金髪の選手の顔は、剛のものじゃなかった。まったくの別人だった。似てもいない。剛と同じなのは髪の毛の色だけだった。
「違う……」