恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
ヒト伝いに聞いた話では4年間の大学生活を終えたあと、そのまま大学院の研究室に残った、ってことだったけど。


「おねーさん、今もサッカー部のお世話をしてるんだ」

「アンタなんかに“おねーさん”呼ばわりされたくない!」

小学1年生のとき1年間、毎朝、集団登校で手をつないで学校に連れて行ってもらったことをあたしは今も覚えている。

だから彼女のキツイ態度がたまらなかった。

「アンタなんか仲間にしなきゃよかった! アンタのせいで剛くんは死んだんだ!」

“アンタ”か……。もう“まりっぺ”とは呼んでくれないんだ……。

「アンタは“勝利の女神”なんかじゃなかった! “疫病神”よ!」

「ヤク……ビョウ……ガミ……」

辛かった。でも彼女のいうとおりだった。あたしのせいで剛は死んだんだから。

「ナニよ、その顔は? 言い返すことがあったら、なにか言い返しなさいよ!」

「………」

「“あれからどうしてたの?”なんて訊かない。その情けない顔を見れば想像つくし」

「………」
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