恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「アンタ、なにやってんのよ! 剛くんが命懸けでアンタを救ったっていうのに、こんなところでなにやってんのよ!」
うすうす気づいていたことだけど、3年前のお葬式のとき、火葬場で出棺間近の剛の棺にすがりついて人目も気にせずわんわん泣いたおねーさんを目の当たりにしたとき、彼女が剛を好きだったことをあたしは確信した。
だから剛を死なせたあたしは彼女にとって、どんなに憎んでも憎み足りないくらいの仇だったはず。
「あたしだって…あたしだって何とかしようって、それなりに努力はしたよ……」
「え?」
「剛の命懸けの行為をムダにしちゃいけないって思ったし、剛が命を懸けた甲斐がある生き方しようと思って、あたしにできることがないかいろいろ考えたし、実際いろいろ試してもみた……」
「………」
「…だけど、あたしにできることなんて、そこいらの誰にだってできるようなことしかなくて……結局、気が付いたら、何かとても大きな流れに流されていくみたいに、ごくごくフツーのОLやってて……」
「ソレって言い訳してるつもり?」
「そーいうつもりじゃないけど……」