恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
これ以上、言葉が続かなかった。



「あたしはアンタを許さない」



あたしをまっすぐに見て言う彼女。さっきまでのヒステリックな感じはなく、落ち着いた静かな感じだったけど、逆に重く、苦しく、その言葉があたしの胸に響いた。

「あたしはゼッタイ許さない」

彼女の目が怖かった。目を合わせていられないほどだった。だけど怖すぎて目を逸らすことさえできなかった。

「ちゃんとしなさいよ」

「………」

「アンタを救うために死んだ剛くんのためにも、アンタはこれからの人生をちゃんと生きてく義務がある」

「剛のために…ちゃんと生きてく義務…」

思わず言葉を繰り返していた。

「たとえ、あたしが見てなくても、空の上からいつも剛くんがアンタを見てる」

「空の上から…いつも剛が……」

「だから、ちゃんと生きなさい。でないと、あたしは許さない。たとえ剛が許したとしても、あたしがゼッタイ許さないから」


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