恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
それだけ言うと、彼女はあたしに背を向けて、さっさと歩いて行ってしまった。
「なにやってんのォ! フォワード動き悪いよォ!」
だからあたしも、メガホンを手に選手に檄を飛ばす彼女に背を向けて歩きはじめた。
「サヨナラ、おねーさん……」
こんな囁くような声が彼女に聞こえるはずなかった。むしろ、ソレは自分の中での過去との決別の言葉だったのかもしれない。
サヨナラ、もう二度とココにはこない。
あたしは自分のいるべき場所へ行く―――
「乾杯!」×2
ワイングラスの“チーン♪”と澄んだ音色を合図にして、お待ちかねの豪華ディナーがはじまった。
ココは、まるでスワロフスキーを一面に散りばめたような夜景を見下ろす、超一流ホテルのスイートルーム。そして今のあたしのいるべき場所。
勤さんが予約してくれたこの部屋で、あたし的には見たこともないような豪華料理を囲んで二人っきりのクリスマスパーティー。