恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~


仕事が終わったら話をしに来ると言っていた江波さんのことは気になったけど、彼女があたしンちに来るより先に、勤さんがカッコイイ車で迎えに来てくれたこともあって、結果的にあたしは江波さんではなく勤さんのほうを選んでしまったんだ。

江波さんの言っていたことを忘れたわけじゃないけど、直接あたしと顔を合わせても、まるで後ろめたい様子がない勤さんのことを信じることに決めたんだ。


出掛けた後のあたしンちに来たのか、彼女から何度も着信があったけど、全部無視して、さっきケータイの電源も切った―――



誰にでも、

宝物のように大切な思い出がある…


だけど同時に誰にでも、

忘れてしまいたいような思い出もある……


あの恋は遠く過ぎ去りし日々の恋…

あの恋はまだ半分子どもで、

少女だったあたしには重過ぎた恋……


あの日、背負った十字架が

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