恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
今も、のしかかり押しつぶそうとする……


忘れたいのに忘れられない

忘れたはずなのに忘れていない……


もしも忘れることができるのなら

あたしは甘い誘惑にこの身をゆだね

禁断の果実を口にしよう…


神さまの楽園から追放されたっていいよ…

あたしは罪と罰との十字架を背負って

ずっとこれからも生きてくんだから――――



「毬さん、顔が真っ赤だよ。ちょっと飲みすぎちゃったかな?」

テーブルの上、ほのかに揺れるキャンドルの暖かな炎の向こうで、勤さんがやさしく微笑みかけてくれる。

「フフッ。多分、顔が真っ赤なのは、お酒のせいだけじゃないと思うよ」

あたしも応じて微笑み返す。でも作り笑顔じゃない。自然にあふれ出た微笑みだった。

「そっか。でも、ちょっと横になったら?」

「ありがとう。でも横になったら、そのまま寝ちゃいそうだし、今夜はもう帰るよ」

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