恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「だがっ」

「わたしは彼女を利用してまで幸せになりたいとは思わないし、そんなことしても幸せにはなれないと思う」

「…っ」

なにかを言い返そうとして、でもやめた彼は江波さんの隣に土下座をすると、こう言った。

「…すまない、毬さん」

「つ、勤さん!?」

あたしには彼の行動が理解できなかった。


「本当に申し訳ない……僕らはキミを“僕らの子ども”を産むための道具にしようとしていたんだ……」

頭を下げたままの勤さんが言った。

「子どもを産むための道具って……そりゃあ、結婚すればフツーに勤さんの子どもを産むことにはなると思いますけど」

「でも僕は子どもが産まれたら、毬さんとは離婚をするつもりだった」

あたしは一瞬、自分の耳をうたがった。

「え……なんで?」

そして訊かずにはいられなかった。

「なんで子どもが産まれたら離婚しないといけないの……?」

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