恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「ハッキリ言うよ。僕の子どもを産んでくれた時点で毬さんはもう用済みなんだ」

申し訳なさそうな顔はしていたけど、言ってることは残酷な内容。

「そして毬さんと離婚したあと、僕は園子と再婚するつもりだった」

「…!」

無防備な状態での突然すぎた爆弾発言は、あまりにもダメージが大きすぎて、その瞬間、あたしはことばを失った。

「中学で出逢った僕と園子は互いに惹かれ合い、愛し合い、高校2年の夏、園子は僕の子どもを身ごもった……」

「え……二人のあいだには子どもまでいるの!?」

でも二人に子どもまでいるんだとしたら、なんで江波さんはあたしに勤さんを紹介したりしたんだろ…?

「子どもはいない……僕らの考えの甘さが、おなかの子どもを殺し……そして園子を二度と子どもの産めない体にしてしまった……」


子どもを殺したっ!?

あんなに誠実そうな勤さんが“自分の子どもを殺した”なんて信じられない…。

それに“江波さんが二度と子どもを産めない体になった”って……。



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