恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
これでみんな分かった。一度はあたしに紹介した勤さんを、どうして彼女が奪い返そうとしたのかが――――


「すまない、毬さん…。僕は園子との結婚を焦り、つい魔がさしてしまったのかもしれない……」

そう言って、頭を下げる勤さん。

「“魔がさした”じゃ、すみませんよっ」

彼を怒鳴りつける誠志郎さん。

「あとちょっとで毬ちゃんの夢が、人生がボロボロになるところだったんですよっ」

そのとき怒鳴られた勤さんではなく、江波さんがすすり泣きをはじめた。

「ごめんなさい……わたし、どうしても勤といっしょになりたかったの……いけないことだと分かってたのに、勤の計画を止めることができなかった……」

すると勤さんが彼女を抱き締めて言った。

「もういい、悪いのは僕だ。僕がみんな悪いんだ。あのとき、キミのことも、そしておなかの子どものことも、もっとちゃんと考えてあげてればこんなことには……」

その声が震えていた。彼もまた今にもあふれそうな涙を、目にいっぱい浮かべていた。

「キミを不幸にしたのは僕だ……許してくれ、園子」

「勤……」
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