恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
18歳最後の日……クリスマスイブの夜、クルマに轢かれて死んでしまう……これがあたしのエンディング。


もうすぐ逢えるね、剛。逢ったら久々にケンカでもしよっか――――



“スタッ、スタッ、スタッ…”

会社でコピーとりをしているあたしの背後から、誰か近づいてくる足音が聞こえる。

「待ってたよぉ♪」

嬉しくて笑顔で振り返ると、そこに不服そうにクチをとがらせた剛が立っていた。

あたしは両手で彼の右手を包み込んで言った。

「あたしもソッチに行くよ♪ どーせ生きててもいいことなんてナニもないし、天国で剛と結婚するよ♪」

だけど剛はあたしと視線を合わせずに、無言であたしの手をどけると、床の一点を見つめながら言った。

「悪りぃがそいつはできねぇ相談だな」

吐き捨てるような言い方だった。

「なんで? 今なら、あたし、死んでも後悔しないよ」

「いや、後悔する。断言していい。ゼッタイお前は後悔するぞ……もっと生きていたかった、ってな……」
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