恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「“もっと生きていたかった”って……」
そこまで言ってハッとした。
「剛……ひょっとして、あのとき本当は死ぬ気なんてなかったんじゃ……?」
すると彼は淋しそうに笑いながら「あったり前だろーが」と答えた。
「ヒトのために死ぬなんて、そんなのマンガの世界じゃねぇか。現実には死んで後悔しない人間なんていねぇ。マリヤだって、死んだらゼッテェ後悔するぜ」
「でも、剛はっ…」
あたしが言おうとするんだけど、ソレをさえぎって剛が言う。
「うるせー、三つ編みオンナ」
「でもっ…」
「死ぬのは簡単だ。いつでもできる。それより“どーせ生きててもいいことねぇ”なんてハナから諦めねぇで、もうちょっとだけ生きてみたらどーだ?」
「イヤだよ、もう疲れた……あたしはいま絶望のドン底なんだ。這い上がるなんてゼッタイ無理っ」
「今いる場所がドン底なら、それ以上悪くなることはねぇ、ってことだろ? 案外もうすぐいいことがあるかもしれねぇぞ」
「そんなの、あるはずないよっ!!!」