恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~


いま、あたしの目の前で桜井さんと夏川さんの週末の予定が決まった。

でも、あたしにはこれといった予定がない。

別に、週末に何も予定がなくったって、それは不幸なことじゃないと思う。

だけど、週末に予定がないことを、損だと思わずにはいられないあたしもいた。



それから数日後、

12月25日・土曜日の午後―――


あたしは父といっしょに、町外れにあるお墓にいた。


つまり週末に何も予定がなかったわけじゃないってことだ。

ただ、あたしにとってお墓参りがたいした予定じゃなかった、ってだけのコト。


そこは、その日、14歳の誕生日を迎えた女のコが、クリスマスに行く場所としては、あまりにシュールすぎる場所だった。

でもゴネれば面倒くさいことになるのは目に見えていたし、おとなしく父の言いなりになってたほうがラクだと思った。


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