恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
もしかしたら、あたしの気持ち、彼には伝わらないかもしれない。
でも、どーいう結果になるかなんて、やる前からウジウジ悩んでちゃダメだ。
こんなときアイツなら……剛なら、やる前から諦めるなんてことはゼッタイしないと思うから……。
「今日の夕方、急に“結婚して”なんて言われてビックリしたと思うけど、アレ、別にふざけてたわけじゃないし、あたし的には本気のマジ告白だったんだよ…」
「え…」と、半信半疑という感じのまなざしであたしを見つめる彼。
「ホントにホントにホントーっに、誠志郎さんのことが好きだからなんだよ」
「………」
「だって誠志郎さん、いつもひとりぼっちの透明人間だったあたしを見つけてくれたじゃん? あたしのこと、ちゃんと見ていてくれるヒトがいるんだ、って思うと、あたし、すごく嬉しかったんだよ」
だけどあたしの言うことを信じていないのか、彼は黙って視線を下ろすと傷口の小石の取り出しにかかった。あたしはそれを見るのが怖くて視線を窓の外へと向けた。
「あたしが中三の夏休みのとき、誠志郎さんたちは地区大会で、いよいよベスト4進出をかけた準々決勝戦だからって、屯を貸し切りにして“試合に勝つ!”の“カツカツ・パーティー”やったの、覚えてる?」