恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「あぁ。毬ちゃんの料理がすごく美味くて、すごく嬉しくて……その日の思い出を心の宝物にして何度も何度も思い出してるうちに気が付いたら…毬ちゃんのことが……好き……になっていた……」
「ふぅん。同じときだったんだ、あたしたちがお互いのことを好きになったのって」
なんか…同じ好き同士になるにしても、同じタイミングで、同じ気持ちになるなんて、そーいうのって、なんかすごく嬉しい♪
「イタッ」
油断してたところで傷口がチクッとした。
「ゴメン。痛かった? でも、石は取れたよ。ホラ」
そう言って見せてくれた彼の手のひらには、コケたとき傷口から入った2ミリくらいの黒い小石があった。
「取ってくれたんだ。ありがとう。先生、大手術、お疲れ様デシタ」
冗談っぽく言うと、あたしは彼にコーヒーを差し出した。
彼は「ホント疲れたよ」と言いながらカウンター席のあたしの隣に座ると、ゴクッとコーヒーをひとくち飲んだ。
「“痛くしないで”って言われてたのに、痛くしちまってホントごめんな」