恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「な、なに言ってんだよっ。そんなの、“No”に決まってんだろっ」

いつもクールに余裕かましてる彼が思いっきり面食らっているのが分かる。

「“Yes”としか答えちゃダメだ、って言ったじゃん?」

「先生との結婚がダメになったからって、そんなヤケを起こすもんじゃない」

「ヤケになって言ってるんじゃない。本当に結婚したいの。だって、あたしは誠志郎さんのことが好きだから」

「っ…!」

なんて言い返したらいいのか分からないみたいで、彼は絶句してしまった。

「本当に好きなヒトとじゃなきゃ結婚なんてできない。一緒になんていられないよ」

「………」

「3年前、剛があたしを命懸けで好きになってくれたから、あたしも何とかそれに応えようとしたけど、でも無理だった……」

「………」

「勤さんとのこともそう。あたし、剛がいなくなってから、もう誰も好きになれないと思ってたから、江波さんに結婚の話を持ちかけられたとき、これが最後のチャンスだって、本当は好きでもないのに結婚しようとしてたんだ……」

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