恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
なんか嬉しそうな彼女の態度に、ちょっとムカついてしまったあたしは…、
「そんなの、ただの偶然だと思います」
…って冷たく言い返してしまった。
でも彼女のほうは、あたしの態度など少しも気にも留めない様子だった。
「偶然かどうかは今日の試合を最後まで見てれば分かる、って♪」
「だから、あたし、もう帰ります、って」
「なんか用事でもあるの?」
「…!」
なんとでもテキトーに答えておけばよかったはずだった。
それなのに、あたしは言葉に詰まってしまった。
今週末、唯一の予定だったお墓参りが終わった今、なんの用事もなくなって、テキトーな用事がまったく思いつかなかったからだ。
「じゃあ、もし、ウチのチームが今日の試合に勝ったら、三つ編みちゃんにおいしぃぃぃケーキをごちそうしてあげる♪」
「おいしいケーキ!?」
今の今まで、ワケ分かんないヒトの相手なんかしてないで、さっさと帰るつもりだった。