恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「まりっぺ、なんか印象すごく変わってたし、言われるまで全然気が付かなかったよ~」

たしかに彼女のいうとおりかもしれない。

小っちゃい頃のあたしはすごくおしゃまで、おしゃべりな、元気印の女のコだった。

でも中学進学後、学校になんとなくなじめなくて、本来の自分を出すこともできず、決して明るいとはいえない学校生活をおくっている今のあたしを、あの頃のあたしと比べてみれば、たしかに別人みたいかもしれない。


「でも、まさかおねーさんが明東大学に通ってるなんて、夢にも思わなかった。きっと道ですれ違ったりとかしてたんだろうにね」

「あたしだって夢にも思わなかったよ。まさかウチのサッカー部の勝利の女神こと、謎の三つ編みちゃんの正体がアノおしゃまなまりっぺだったなんてね。超ビックリってヤツ? 世の中ホント狭いもんだよねぇ」

「ア…!?」

そーいえば、そんなこと言ってたっけ!

あたしが“勝利の女神”って……。

彼女に言われて思い出した。


「悪いけど、あたし、たぶん勝利の女神なんかじゃないと思う……」

「いい? 今、ウチのチームは相手に1点リードされてるけど、まりっぺが来てくれたから、これから一気に逆転するよ。見てて」
< 31 / 227 >

この作品をシェア

pagetop