恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

“そんなわけないよ…”

…って、あたしは思った。

至極当然の発想だ。



けど、それから10分後―――

濃いグリーンのユニフォームを着た白に近い色の金髪の選手がシュートを決めて“1-1”の同点になった。

「ゴーくん、ナイスシュートぉ!!」

手をたたいて喜ぶ郁巳おねーさん。

「ほらね。勝利の女神さまが来たことで試合の流れが変わったよ。運がウチのチームに向いてきたんだよ」

「ウソ…!?」

あたしは、負けかかっていたチームがあたしのおかげで得点できたのかもしれないことに対して、喜びより、むしろなんだか気味悪さみたいなものを感じていた。

「こんなこと、あるはずないよ……」


でも、それからさらに10分後―――

さっき、おねーさんが“ゴーくん”って呼んでた金髪の選手が再びシュートを決めて、結局、試合は“2-1”で明東大学サッカー部の逆転勝利で幕を下ろした。

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