恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

「あたしだって感動してるわよっ」

郁巳おねーさんが負けじと言った。

「だってさぁ、毎朝、手を引いて小学校まで連れていってたまりっぺが、まさかウチらの勝利の女神だとは夢にも思わないし」

「“まりっぺ”って?」

「このコの名前、毬だから小学生の頃“まりっぺ”って呼んでたのよ。ちなみに字は手毬(てまり)の“毬”って書くんだけどね。どぉ? かわいい名前でしょ?」

「そっか、手毬の毬か~♪ 毬もボールの仲間だし、俺らサッカー部の勝利の女神さまにはピッタリの名前じゃね?」

誠志郎ってヒトは、あたしの名前をすごく気に入ってくれたみたいだったんだけど、そのとき別のヒトの声が聞こえてきた。



「フンッ、冗談じゃねぇ」



…って誰かが鼻で笑って、すごくバカにしたみたいな感じで言ったんだ。

声のしたほうを見ると、そこに白に近い色の金髪をした男のヒトが立っていた。今回の試合で2度のシュートを決めたヒトだ。

めちゃめちゃ目立ってるヒトだけど、“いまどき金髪ってどぅなのよ”って感じもする。

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