恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「なにが“手毬の毬”だ。俺らはボールを手で触ったら反則だ、っつーの。手毬の毬なんて縁起でもねぇオンナを、なんでオレらの勝利の女神にしなきゃいけねぇんだよ。勝利の女神なんていらねぇ、っつーの」

「…っ!」

カッチーン! このヒト、めちゃくちゃ感じ悪い!!

ヒトのこと、勝手に勝利の女神にまつり上げてるのはアンタらのほうじゃん!!

「あいにくオレはゴールキーパーなんでね、どんだけ触ろうが反則にはならねぇ」

そう言って余裕タップリの笑顔を見せると、右手の手袋を取って…、

「はじめまして」

…と素手の右手をあたしの前に差し出す誠志郎ってヒト。


反射的にあたしが右手を出そうとすると…、

「ケッ。ゴールキーパーの特権を使って“手毬オンナ”のカラダに触ろうってハラか」

…って金髪のヒトに言われてしまった。


慌てて手を下ろすあたし。


言われてみればそうだ。“握手”といえばなんの警戒もしないけど、カラダを触られることにはちがいない。

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