恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
あたしはとりあえず自転車を降りると、入り口のドアを“コンコン”とノックして、お店の中に向かって声をかけてみた。
「こんにちは~! マスタ~! おばさ~ん! 誰かいませんか~!」
反応ナシ……。
“えっ、なんで? ひょっとして、もうみんな帰っちゃったとか? たしかに約束の3時はとっくに過ぎちゃってるけど……”
そう思いながら何げにドアノブを引っ張ってみると、“カラン、カラン♪”とベルが鳴ってドアが開いた。
誰もいないのにカギもかかってない…。
店内はカーテンが閉められているせいで、昼間だというのに真夜中のように真っ暗だった。
「こんにちは~! 毬ですけど、誰もいませんか~!」
大きな声で呼んでみるけど…、
やっぱり反応ナシ……。