恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
…などと、どーでもいいような妄想を膨らませていると…、
「みんな! 早く帰ろうぜ! おやじが祝杯の準備して待ってんぞ!」
…って、金髪のヒトが選手たちに向かって大声で言った。
「おう。行こ、行こ!」
「俺、ハラへって死にそぉ~」
選手たちは口々に言いながら、先に歩き出した金髪のヒトに続いて歩きはじめる。
「まりっぺも付いといでよ」
郁巳おねーさんに言われて、一瞬、“なんで?”と思った。
「約束どおりケーキおごってあげるから♪」
「そーいえば、そーいう約束してたっけ……」
あたしは一人つぶやいた。
「遠慮しないでくれば?」
誠志郎ってヒトの微笑むまなざしが、すごく涼しげだった。
「桐矢ンちは“屯(たむろ)”っていう名前の喫茶店で、マスター手作りのスイーツはなかなかのもんだ」
「へぇ、そーなんですか……」