恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~

でも、よく知らない男のヒトと並んで座ることじたい緊張だったし、だいいち部外者のあたしにとってはこの店はなんとなく居心地が悪い感じがして、さっきからずっと落ち着かない気分でいた。

「まりっぺも好きなの頼みなよ。今日はマスターのおごりだから」

メニューを渡してくれるおねーさん。

「あ、ありがとう」

今のあたしにとって、おねーさんだけが唯一の頼り。

「おい、マネージャー、ちょっと待てよ。おごるのはサッカー部の人間限定だろーが。ソイツにはちゃんとカネ払ってもらうぞ」

金髪のヒトのありえない発言だった。

「お前な、ケチくさいこと言うなよ」

誠志郎ってヒトの言うとおりだと思った。

「あのなー、オレ様は喫茶店の毎日の売上げで今日まで生きてきたんだ。つまりはオレ様の生活がかかってるってコト」



「いいです! あたし、自分でお金払いますから!」



このときのあたしは完全にキレてた。

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