恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「見つかるわけ……ないよ……」

でも、あたしはその時点でもう諦めていた。

「とっくに誰かに拾われて、今ごろ、誰かがあたしの5000円で豪遊してるよ……」

「バーカ、探す前から諦めてんじゃねぇ」

このヒトの言い方はいちいちアタマにくる。

「たしかにお前の言うように、探しに行ったところで見つからねぇかもしれねぇが…」

「だから“見つかるわけない”って言ってんじゃん!」

あたしは金髪のヒトが言うのをさえぎって言った。

けど、金髪のヒトはかまわず続けた。


「やる前から諦めるな。四の五の言う前に、まずやってみるこった。諦めるのは結果が出た後からでも、じゅうぶん間に合う」


「…!?」

“やる前から諦めるな”か……。

このヒト、意外といいこと言うじゃん。


「オレはな、なんでも分かってるような……オトナみたいな涼しそうな顔をして、物事を簡単に決め付けちまうヤローがダイッキレェなんだよ」


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