恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
「お墓参りのあと、駅前の本屋さんに行くときに父にお金をもらいました……」

「…ってことは、まず駅前の本屋から探しはじめればいいってことだな。よし、みんな行こうぜ」

そう言って駆け出す金髪のヒトを「ちょっと待った」と誠志郎ってヒトが呼び止める。

「行く前にまず電話をするんだ」

「直接行ったほうが早いって」

「まだこの時点でサイフが誰にも拾われていないと仮定しよう。その場合、俺たちが駅前の本屋にたどり着くまでのあいだに、誰かに拾われてしまう可能性もあるだろ? だから先に電話しといたほうがいい」

「お前、番号知ってんのか?」

「忘れたか? 俺が無類の読書好きだってことを」

そう言って「フッ」と余裕タップリに微笑むと、サッとケータイを取り出して電話をする仕草が文句ナシにカッコいい♪

なんかまるで、青年実業家のヒトが「あの会社の株は全部“買い”だ」とか「全部“売り”だ」とか、電話で部下のヒトに指示してるみたいな雰囲気があったし♪♪


そして―――


「そうですか、分かりました」

< 49 / 227 >

この作品をシェア

pagetop