恋舞曲~雪の真昼に見る夢は…~
あたしはさっきまでの緊張も忘れて、必死で彼女に頼んでいた。
「聞きたいな、その夢のハナシ」
誠志郎ってヒトが興味津々に目を輝かせる。
「まりっぺの夢は18歳で結婚して、双子の子どものママになることで~す♪」
「…って!?」
オイオイ! なんで言っちゃうかなァ、このヒトは!
「へぇ、じゃあ、今日が14歳の誕生日だから、あと4年じゃないか。ひょっとして、もう未来のダンナさん候補がいるとか?」
「か、カレシはいないです……」
恥ずかしすぎて、うつむいてしまった。
「じゃあさ、じゃあさ♪ ひょっとしたらウチのサッカー部の誰かがまりっぺのダンナさんになる可能性もある、ってことだ~♪」
なぜか、おねーさんが瞳をキラキラさせる。
「じゃあ、ワシも立候補すっか」
突然、ケーキを乗せたトレイを手にマスターが割って出てきた。
「アンタにゃ、あたしがいるだろ? …ったく、若いコが好きなんだから」
すかさず、おばさんが言う。